堀越千秋「スペイン七千夜一夜」
カンテというマイナーなジャンルの音楽を愛する画家のエッセイ集が、出版不況といわれるこのご時世に出版され続け、さらに文庫化までされていっている。愛読者がどういう立場の人たちであるにせよ、みんなユーモラスな文体に魅了されているのだろう。
本書の中でも、画家の文章の上手さについてひとつのエッセイが書かれており、その中でデッサンが表現することの有効な訓練になったと語られている。この画家の目はスペイン人や日本人に向けられているのだが、とくにスペイン人の不愉快なふるまいを精緻に「デッサン」した文章はすこぶる愉快だ。
また、カンテ歌手から伝わってくるエネルギーについて独自の理論を展開している。その理論に合うの合わないのか分からないが、解説には中沢新一が起用された。
ホアンの弟でドローレスの父であるマヌエル・アグヘータのこの「アグヘータス・カンタオール」は自身のドキュメンタリー映画のサントラ盤。映画の中で威勢のいい啖呵をきっているが、こういう映画が製作されることからも分かるように歌の実力もすばらしく、純粋フラメンコの現役歌手の頂点に君臨している。伴奏はモライート。
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